日本の文化・伝統
2016/01/11
鏡餅の由来と鏡開き
1月11日、注連縄を外し、お正月に備えていた鏡餅を食べる「鏡開き」を行ないました。この鏡開きは〝旧年の無事を神様に感謝しながら本年の無病息災を願い神様に供えた鏡餅をお下がりとしていただく〟という儀式で、餅を食べた者には神様から力が授けられると言われています。
わが家では、できる限り日本の伝統を継承していくという考えに立って、年末には餅つきをし、手作りの干し柿で鏡餅の飾りつけを行ないましたが、これにもさまざまな意味が込められているようです。
古来、日本では鏡は神様の魂が宿る〝霊力〟を備えたものと考えられていました。そのためお餅を神の宿る鏡に見立てて、丸く形作られた鏡餅は神聖視されお正月に供えられることになったのです。また、餅と橙と柿は三種の神器を表わすとされています。即ち餅は鏡(八咫鏡・やたのかがみ)・橙は玉(八尺瓊匂玉・やさかにのまがたま)・干し柿は剣(天叢雲剣・あめのむらくねのつるぎ)ということになります。
餅を重ねるのは重ね重ねの意があり、橙は代々家が大きく繁栄する、干し柿は両端に各2個、真ん中に6個あることから「ニコニコと、中(仲)睦まじく」の意があると言われています。また、裏白は心に裏表がない清廉潔白に通じるとされています。
また、鏡餅をこま切れにする場合には、包丁等で切らずに手で割ったり、木槌などで叩き割る習慣があります。この起源は鏡開きの風習の発祥である武家社会において、「餅を刃物で切るのは切腹を連想させる」ということからきているのです。(中尾直史)