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2015年9月アーカイブ

松下幸之助氏のエピソード① (2015/09/25)

 私はこれまで民間企業での34年間とその後の教育界での12年にわたる勤務を通じ、社会で活躍している人を数多く見てきました。特に松下電器(現、パナソニック)では約20年間本社人事部での勤務を通じて、一代で世界有数のエレクトロニクス企業を築き上げ〝経営の神様〟とまで言われた松下幸之助氏から数々のことを学ばせていただきました。創業者は『点数ではかれない力』が桁はずれに大きい方で、身体の中に脈々と流れているのは、常に〝お客様を大切にする心〟と〝ゆるぎない志〟であったと思います。ある時、たまたま大きな荷物の運搬のお手伝いをするということで、創業者の車に同乗させていただきました。私は緊張して助手席に座っていました。すると、赤信号で車が停まった時、後ろの席で創業者が松下電器の商品を販売していただいているナショナル・ショップに向かってお辞儀をされているのです。やがて、青信号になって、車が動き出しましたが、別のショップの前でまたお辞儀をされています。この創業者の姿に接し、大きな感動を覚えました。

松下電器には『いかに会社が大きくなっても一商人の観念を忘れず』という言葉があります。ある時、マスコミの方から「一商人とはどういうことですか」と聞かれた時、創業者は「商売の何たるかを誰よりも良く知っている」「相手の立場に立って物事を考え行動できる」「相手より深々と頭を下げることができる。即ち感謝とお詫びの気持を持つ」と答えられたとのことです。

一商人であることを常に心に留め自ら実践されていたのです。その後、創業者の一挙手一投足に絶えず注意を払っていましたが、お客様に対しては必ず玄関先までお見送りされ車が見えなくなるまでお辞儀をされていた姿が今でも瞼の裏に焼きついています。
                                  (中尾 直史)        

 

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