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偉大な日本人

2017/02/06

志シリーズ第八碑 佐藤一斎

  少(わか)くして学べば  壮にして為すあり

  壮にして学べば  老いて衰えず

  老いて学べば  死して朽ちず

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この言葉は、幕末期、江戸の昌平坂学問所で多くの門弟を育成した佐藤一斎の語録「言志四緑」中のものである。一般に「三学戒」と呼ばれ、小泉総理が国会答弁中に引用されるなど、よく知られた言葉である。こんな意味である。

"若い時によく学んだ人は、壮年期に至って社会が放ってはおかず、為すべき仕事が自然に与えられるものである。壮年期になってよく学んだ人は、老いても心が賦活されることが多く、精神的にも肉体的にも中々衰えがやってこない。そして老年期によく学んだ人は、その生き様や考え方が多くの人に慕われ、その生命を終えた後も、多くの人々の心の中に生き続けてゆくものだ。"

私がこの言葉に初めて触れたのは、27歳で県議会議員となり、政治の道に入って間もない頃、大阪に関西師友協会会長である新井正明先生をお訪ねした時であった。新井先生は、私に、"人生は一生勉強だよ"と言われ、餞(はなむけ)の言葉だと、この言葉を紹介して下さった。そして更に、"ならば何を勉強すればよいのですか"と私がお訊ねすると、このことは安岡正篤先生に教えられたことだよと、次の3つのことを語られた。
   
①自分の専門分野をよく学びなさい。

  ②この時代と社会のことを広く学びなさい。

  ③人間のことを深く学びなさい。

まず、自分の専門をよく学べということであるが、人生は、自らの仕事において満足し、また社会に対して十分な役割を果たすことなくして、その充実を得ることは出来ない。そのより良き仕事を為すには、自分の専門において、よく学ぶことが大切だというのである。

2に、広く時代と社会を学べとは、いくら専門が大切だと言っても、専門馬鹿になっちゃいけない、この時代が自分に一体何を求めているのか、人々は何を欲しているのか、こんなことを広く理解してこそ、自分の専門分野においても、何を為すべきかがより的確に分かってくるのだとの示唆であろう。

そして最後に、人間について深く学べということである。この社会に生起する様々な事件や問題は、当然のことだが、そのほとんど全てに関して、人間の関与がある。だから、真に問題解決をしようとすれば、真剣にまず人間理解から始めねばならないということであろう。
これら3つのことをバランスよく学んでゆく中にこそ、人間としての全人的な成長が得られてくる。だから、志を実現するには、"学ぶに如かざるなり(論語)"なのである。

毎日毎日、自らの人生の歩みを一歩ずつ進めてゆく上に、学ぶということをもっと大切にしてゆこうではないか。

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